お元気ですか。 私はもうすっかりこちらでの生活にも慣れて、元気にやっています。 今日も気まぐれで散歩をしました。道の途中の看板の自家製ケーキという文字に惹かれて名前も知らない喫茶店に入りました。古い階段を登って薄暗い店内に入ると真ん中にポツ…

高校生の時改装する前のオンボロの渋谷パルコに1人で映画を観に行った。そこしか観たい映画がやっていなかった。母親には塾へ行くとウソをついた。 なんでウソをついたんだろう今は忘れてしまった。多分そこまで行って観たいのは何の映画なのかを深く聞かれ…

とにかく酒が飲めない。 飲んだ直後はぺらぺらと饒舌に話してケタケタ笑ったかと思えばとすぐにズーンと顔色を悪くして所構わず眠る。 大学生の時は居酒屋の前の道でコンクリートがつめたいからとケタケタ笑いながら寝っ転がったと思ったら突然人が変わった…

あぁもうこうも人に会っちゃダメ外にも出ちゃダメだとイカれ狂ってくるイランでもアフガンでもこの先のベトナムでもなんでもいいから聴かせてよバラライカ

先日は父親の誕生日だったので電話をかけてみた。父親はもう分かってるよ、と言いたくなることばかり話したが、家にいた時は全くと言っていいほど会話をしなかったからかたぶん大変喜んだ。なぜだか後からありがとうというメッセージが3回送られてきた。 い…

こうも天気が良くない日が続くとしょぼくれてしまう。この間の夏日に大汗をかきながらスーパーへ向かって気分に任せて買ったそうめんときゅうりとトマトさえも、好きじゃない洋服を着せられた子供みたいにふて腐れて見えるから私もふて腐れる。 ソファに大の…

夏の夜は何となくうきうきするから、気が付いたら脇目もふらずコンビニ目掛けてアイスを買いに走っていた。年甲斐もなくニヤニヤしながらアイスを選んで、また走ってトンボ返りした。途中で煙草を吸っている男性たちがチラリとこちらを見た。そりゃそうだ。…

二度寝してグウタラして窓の外から聞こえる変な時間の目覚まし時計の音や電車の走る音や鳥の鳴き声近所のオバさんの噂話オジさんのボヤキ等に耳をそばだてて遠くで咲いている花の匂いを嗅ぎながらまたうたた寝するそんな風俗的な時間過ごすことを至上の幸福…

自分がアオイちゃんやアヤカちゃんだったらどれほど良かったか、と考えていたときがある。 少し離れた幼稚園に通っていて近所の友達とうまく馴染めなかったし、その幼稚園でも友達の作り方がわからなかった。家に帰ると当時は妹もいなくて、1人で遊ぶことが…

歌に上手いも下手も、出来ないも出来るもないんだよ！おまえのハートは、震えているか！

電車を降りたら急に大学に行くのが面倒くさくなったとき、よく暇潰しに遠回りをしてとある居酒屋の前をウロウロしたりした。私が通る時間はいつも開いていなくて、がらんとしていた。看板にかいてある文字を読んでは何がゲームコーナーだとか、酒も飲めない…

どっかの美術大学のエライ教授が 良いトリップをするには、たくさんの良いトリップを知らないといけない。 と言った。 「うるせぇ」ブツブツいいながら銭湯に行って、コインロッカーにガコンと靴を入れて、聞いたこともないシャンプーでガシガシ頭を洗って、…

後部座席で関越自動車道の無機質な灰色の壁を眺めながら、コソコソとオヤツを食べている。車は混んでいて、父親と母親がどこで高速を降りるか話している。 いつもなら寝る時間だ。パーキングエリアで休憩するらしい。トイレ大丈夫？母親が聞く。大丈夫、と答…

実家は、住んでいたときには全く気が付かなかったが、色んな匂いがする。土の匂い、草の匂い、トイレの匂い、洗濯物の匂い、料理の匂い、部屋の匂い。 「元気だったか？」「うん、元気だった。」 会話をほとんどしてこなかった父だが、私が帰ってきたらビー…

ある真夏の日。 私たちはダラダラと大汗をかきながら自転車を漕いでいた。 上り坂の頂上で振り返ると、友達が 息をゼェゼェさせて、文句を垂れながら遅れてやってきた。 下り坂は、ペダルから足を外す。 濡れた肌に、生温い風が当たる。 瀬戸内海の群青色に…