2022-01-01から1年間の記事一覧

News from no where III

曇った空に、赤や黄色、青や緑のネオンがチカチカと反射する道を歩いています。異国の言葉が飛び交って、煙草や食べ物が混じる冷たい風が吹きました。なんとなく角を曲がって狭い裏路地に入ると、座る男がピューっと口笛を吹きました。耳をつんざくような通…

ライナス

しんどいという感覚を握りしめているときがある。ライナスの毛布みたいに。早く手離したいのに、頑なに握りしめている。握りしめていないと、しんどいという感覚で押し潰れされてしまいそうな気がする。でも、ふとした瞬間で、いとも簡単にそれを手離す。あ…

生きてます 2022.10.12

高校生の修学旅行の感想文で、こんな作文を書いたことを思い出した。 私は無宗教なのに、なぜ無条件で寺や神社を見せられて、手を合わせるんだろう?分からなかったので、自分なりに考えてみた。ガイドをしてくれる社会の先生の話を聞くうちに、気付いたこと…

一つ夢ができた。

60歳くらいになっても、黒いバケットハット被って、長い三つ編みして、デカい黒いシャツにモノクロの柄のパンツを履いて、黒の厚底のスニーカーで、ダンスフロアでDJの流すファンクに合わせて上手にダンス踊る。 自分の娘くらいの年齢の人なんかよりずっと全…

よりみち

駅に帰った後。雨が降っているのに傘がない。そして家に帰るには物足りない気持ちだったから雨宿りに寄り道した。屋根のあるところを当てもなく歩いて、夕暮れみたいな色の「よりみち」と書いてある看板に吸い込まれて古いドアを開けた。天井には星座のよう…

映画

ある映画を観た。映画を見ている途中からずっと同じ曲が耳の中で繰り返した。もうその瞬間は二度とやってこないから、この衝撃を忘れたくない。この衝撃そのまんま、いつまでも、心の中で鳴っていてほしい。そう思いながら、イヤホンを耳に入れることなく帰…

ドライブ・マイ・カー

大体いつも「大丈夫です」「平気です」「はい」そればっかりだ。心の底では辛いしんどい無理なのに。他人の手を煩わせたくない、そんなことで落ち込まない、迷惑かけないんだ、いつもそんなしょうもないプライドを守って、衝突を避けた。そんなことをしてい…

2022

今年は、思うがままに、自由にいきます。 よろしくお願い申し上げます。

ニューアカオ

という建物が「死ぬ」。(建築当時は)政治家の黒い金が相当動いていたという件やら今の建築基準法やら、時代の変化やらで、もう同じものは建てられないという。 生きていた頃のニューアカオは知らない。しかし、確かにもう死んでいた。隠しきれない客室の床…