逃避行的浮遊

仕事にしろなんにしろ、最近は何かと気にかかることが多過ぎて、空を飛びたい気持ちになっていた。小さい頃から疲れると空を飛ぶ夢を見る。もうじき見るだろう。

苦しいと思う心を自分で握りつぶして、自分を更に苦しめる癖がやめられない。ふと固く握ったその手を開く時、その瞬間はいつも突然訪れる。今日はふとバスの外で夏の空に船が浮かんでいたのを見た時だった。目を閉じると体より先に心が浮遊した。船みたいにぷかぷか浮かんで、大きく息を吸ったら船よりも早く飛んでった。カメラじゃ捉えられないスピードで。全身の血すら早く流れて行くのを感じる。目がカッと開いて、ものすごく遠くの世界を見て胸が高鳴る。どこまでも広く青い空も深い海も己のものだと言わんばかりに、手を広げている。

誰かに寄りかかることが上手ければこうもならないだろうか?ただ不器用な哀しき怪獣なことくらい分かってるけどうまくできない。だからたまにこうしてイメージの中で、1人で空を飛ぶ。

 

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