自分がアオイちゃんやアヤカちゃんだったらどれほど良かったか、と考えていたときがある。
少し離れた幼稚園に通っていて近所の友達とうまく馴染めなかったし、その幼稚園でも友達の作り方がわからなかった。家に帰ると当時は妹もいなくて、1人で遊ぶことが多かった。みんな、昨日は楽しかったねとか明日も遊ぼうねってたのしそうだなぁ、と思っていた。
思い出す幼少の記憶は、だいたい夕暮れでリビングの部屋に1人で窓に背を向けて座っている。外から同じ歳くらいの子たちが遊んでいる声が聞こえる。なんとなく泣きたい気持ちだけど、なんで泣きたいのか分からないから涙を堪えていた。
幼い私は、自分の名前が問題なんだと考えた。同じ名前だね〜とか、友達のお姉ちゃんも同じ名前だよ〜っていうのをやってみたかった。変わった名前だねって、それで終わっちゃうから。そうすればみんなと友達になれるんだろうなと思っていた。
どうしても眠れなくて、父親と母親が起きている部屋に行ったことがあった。その時に聞こえてきた。モーニング娘。の歌うひょっこりひょうたん島が。人形はへんでこわいけどこの音楽は、たのしいな。そう思った。
それから少し経った日、同じ組の子がひょっこりひょうたん島を歌っていたから嬉しくて一緒に歌った。その日、私に友達ができた。