夏色

 

ある真夏の日。

私たちはダラダラと大汗をかきながら自転車を漕いでいた。

 

上り坂の頂上で振り返ると、友達が

息をゼェゼェさせて、文句を垂れながら遅れてやってきた。

 

下り坂は、ペダルから足を外す。

濡れた肌に、生温い風が当たる。

 

瀬戸内海の群青色に吸い込まれそうになって、

カンカン照りは負けじとキラキラ反射した。

港で船が休んでいるから、私たちも休んで

冷たいコーラを飲み干した。

 

サンダルの中からは砂が出て、

時計の形をした日焼けがいつまでも残っていた。

 

 

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